

高度成長期等に全国で作られた団地の多くは築後数十年を経て、空き室の増加、建物の老朽化、居住者の高齢化等が進み、その再生が喫緊の課題となっている。団地の再生は地域の再生にも深くかかわっており、建替えやリノベーションによるハード面での改善とともに当該団地のコミュニティ再生が重要である。公営・公団・公社等の公的団地や民間社宅等の多くは建蔽率・容積率も低く、緑も豊かであり、基本的インフラも整備されているため、再生が十分可能である。建替えにより新たな居住者が加わることによるコミュニティ再編や世代を超えた多様で柔軟な生活サービスの提供により、団地のコミュニティ再生は実現可能であり、さらに、団地の再生は地域の再生にも大きな貢献を果たすことができる。すでに、全国各地でUR団地を始め多くの再生事業が実施されており、それらの中には従前より地域の価値が向上している、あるいは、団地内外からの新たな地域施設・サービスの導入や地域外へのコミュニティ再生に寄与しているものも見られる。
本フォーラムでは、これまでの建替えや生活サービス等の面からの優良事例の報告やパネルディスカッション通じて、次世代の団地再生のカギとなるコミュニティ再生を「もうひとつの団地再生」として展開するための可能性と課題を探る。