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小規模多ニーズ対応型住宅

概要

供給者側ではなく、そこで生活する者が主体となる住宅の要素をまとめて概念化した。 一律ではあり得ない個人個人の今のニーズに応え、住む人の時間経過とともに変化していくニーズに柔軟に対応していく小規模の集合住宅のこと。要素としては、次の3つがあげられる。 (1)小規模であること 「住宅」とはそもそも小規模であるはず。 (2)多ニーズ対応であること 人はその地域にずっと住み続けたいと思っている。住み替えることを強いられるのは、その住宅が変化するニーズに応えないからである。つまり住民主体の住宅とは、多様なニーズ、変化するニーズに対応していく住宅であると言える。したがって、住宅の構成要素も限定されるものではない。 (3)住宅であること あくまでも「住まい」であって「施設」ではない。

これまでの流れ、実績

2004年12月に開催された「もうひとつの住まい方研究大会」第1回大会において、生活クラブ運動グループ福祉事業連合をはじめとする諸団体から提言された、住民主権=ニーズ先行型住宅の概念を整理し、「小規模多ニーズ対応型住宅」「自主管理型共同住宅」などが採択、その整備がアピールされた。翌年、「上布田つどいの家プロジェクト」がスタート。2007年3月、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護、賃貸住宅、地域交流スペースからなる「上布田つどいの家」(川崎市多摩区布田)が完成した。2007年10月には、保育園、デポー、市民事業フロア、住宅フロアで構成される「パスレル保谷」(東京都西東京市)が完成。2009年7月には、「高根台つどいの家」(千葉県船橋市)が開設予定。

入居者または住人の特徴

40~80代の女性シングルや家族が中心。

立地の特徴

住宅地であること。生活インフラが整っていること。

暮らしの特徴

コモンスペースを利用した、住人や利用者間のコミュニケーションがある。問題解決は人間同士の関係性の中で行うことが多い。運営にNPOや地域の力を取り入れていること、また、住人は少ないが利用者は多いということも特徴。

建設の目的やテーマ

住まいの主役は「住む人」。戦後の住宅政策では供給サイドのニーズが優先されてきたが、本来の形である「住まい手のニーズ」が優先されるべき時代に入ってきた。とくに、核家族化、少子高齢化が進む中、「老い」や「介護」にまつわるニーズは必須。住まい手のニーズは多様化し、時系列に変化していく。立場を変えていく人たちが互いに関係しあうコミュニティのニーズ(地域社会の必要性)をどのようにとらえるかが重要である。

建物の特徴

建築としての物理的大きさとは離れて、心象として圧迫感や違和感のないことが特徴。

所有や権利の特徴

賃貸借契約、分譲(区分所有)。 住まい続けられる権利形態が求められる。

事業者または企画者の特徴

「もうひとつの住まい方研究大会」第1回大会で採択された概念を事業化した住宅であり、もうひとつの住まい方推進協議会が企画の母体となっている。

リンク先

生活科学運営ホームページ http://www.seikatsu-kagaku.co.jp/intro_house/kamifuda/kamifuda.html